cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

小笼包

これも今まで何回か作っているのだが、出来に納得していなかったので再挑戦。

以前書いたかもしれないが、小籠包の生地は温水で練るのが特徴。小麦は、冷水で練るとグルテンを形成し、熱湯で練るとグルテンの形成が抑えられ逆に糊化するのだが、温水で練ると両方の性質を兼ね備えるのだという。小籠包を温水で作るのは、皮にグルテンのコシと糊の粘りの両方がないと、中に閉じ込められたスープを蓄えておくことが出来ないからだろう。ただ、私は熱湯で練った生地と冷水で練った生地を別々に作り、それを最後に合わせるというやり方を取っている。それは温水の温度をいちいち計るのが面倒ということもあるが、熱湯は熱湯で、冷水は冷水で練った方が上記のコシと粘りを最大限に得られるような気がするからだ。そして、今回は特に念入りに生地を作ってみた。さて、その出来栄えは。

おおっ!見よ、このタプタプ感。今まで私が自作に感じていた最大の不満は、小籠包一つ一つのスープの量が少なくて、小籠包を食べたぞという気がしなかったこと。一度皮を破るとふんだんに流れ出るあのスープこそ小籠包の最大の魅力ではないか! それで今回は、スープの素となるゼリーを多めに包んだのだが、ただ多めにした分生地がスープを留めきれずに外に流れ出してしまうのではないか内心不安だった。でも、生地作りがうまくいったのか、これだけ中にスープが溜まっていても一滴たりともこぼれ出たりしない。今まで作った中では、最もうまく行ったと思う。

皮を箸で破ると、ジュワッとスープが溢れ出る。レンゲごと口に運ぶと、小籠包を食べたという満足感が広がる。鼎泰豊に勝った、と言うと自画自賛が過ぎるか。

本当言うと、襞の取り方をもっと綺麗にしたかったのだが、それは次回の課題ということで。

桃花酥

”酥 ”と呼ばれるパイ生地は、私の大好物。以前、”荷花酥”を作ったが、今回は別のメニューに挑戦。

思ったほどの出来栄えではない。

パイ生地自体は何度も作っているのでさほどでもなかったが、問題は中の餡。ねちゃねちゃして上手く丸められない。そのせいで、生地でくるんでも全体に行き渡らず、綺麗な形にならなかった (だから、本当はもう一つ別の種類の菊花酥というパイを作りたかったのだが、叶わなかった。)缶詰めのあんこをフライパンで炒めたのだが、その炒め方が足りず、水気が残ったのが原因か。しかし、あの妙なネバネバ感を思うと、市販ものに入っている甘味料のせいだったような気もする。出来合いのものはやたらに甘いし、一から小豆を煮るなり、中の餡はもうちょっと工夫が必要だと思った。

あと、花びらの成形がうまく行っていない。はっきりした層にするため一工程ごとに生地を冷蔵庫に戻していたのだが、それが失敗の元。冷えたままだと生地が硬く、形にしようと指で摘まむと簡単に割れてしまう。最終段階だけは生地を室温に戻すべきだった。

 

琵琶鴨

数ある食材の中で何が一番好きかと問われたなら、私は水鳥がそうだと答えよう。家鴨、鵞鳥と聞いてそわそわせずにはいられない。ドナルド・ダックを見ても涎がでるくらいだ。淡白な味わいの鶏とは別の、肉にぎっしり血の詰まったような、独特のコク。私が日本の中華料理屋にさっぱり行く気がしないのは、大抵の店がこれを用意していないから。北京の北京ダックはもちろんのこと、広東の焼味、滷水しかり、江南の八宝鴨しかり、中国人にとっても水鳥の類いは最高の御馳走の一つだろう。仮にも中国料理の看板を上げながらそれを客に提供しないなんて、何と言う手抜き!まるで原節子の出ない小津映画、三船敏郎の出ない黒澤映画、高峰秀子の出ない成瀬巳喜男田中絹代の出ない溝口健二みたいなものではないか。つまり、「てんで物足りない!まるで観た気が、いや食った気がしねえや!」ってこってすわ!

さて、この料理。家鴨を"開き”にして焼いたその形が楽器の琵琶に似ているのでその名がある。(写真は胴だけだが、首がついているとちょうど棹のようで琵琶そのもの。)ただ、どうしてわざわざ”開き”にするのかよくわからない。広東省の珠海という所の名物料理らしいが、料理誕生の経緯など結局調べられずじまいだった。全体が平べったくなった分、焼き時間が短縮できて効率的か。いずれにせよ、日本の一般家庭にある食材を寝かせて焼く式のオーブンだと、そのままよりも開きにした方が圧倒的に焼きやすいのは確か。だからこそ私もそのやり方で家鴨を焼いたのだが、見事失敗したのは前々回記した通り。好物の家鴨料理をこのままで終わらせる訳に行かない。よって再チャレンジ。しかも今回は、料理にかける意気込みが違う。普段はあまりやらないのだが、特別に出来上がるまでのプロセスを紹介したいと思う。〈閲覧注意!生肉に近い物を掲載しているので、ここからはそういうのが苦手な人はご覧にならないように!〉

まず、開いた家鴨をこんな風に扇風機を当てて皮を乾かすのが、第一段階。これは、家鴨に限らず鶏もそうなのだが、皮を乾燥させないことには、広東ロースト特有の飴色の焼き目が付かないのだ。ただ、私もそうだったが、この生肉を常温の室内に晒すというプロセスに多くの日本人は抵抗を感じるかもしれない。「そんなことして、腐っちゃわない?」大丈夫。実際にやってみると、真夏の暑い盛りだといざ知らず、室温状態でも存外生肉は傷んだりしないものだ。逆に乾かすことで適当に水気が抜け、味が締まる。クリスマスにローストチキンを焼いたものの、「何だか水っぽくていまいちね」と感じた経験のある方には、是非一度試されることをお勧めしたい。それはともかく、今回はいつも以上に念入りに乾かすことにする。前回失敗したのは、この乾燥の工程が不十分だったせいのような気がしたからだ。何回かに分け皮水(酢と麦芽糖を混ぜたもの)を塗りながら風に当てる事三時間、その後冷蔵庫に入れ二十四時間放置する。そして、冷蔵庫から取り出した後、室温に戻すのと兼ねながらさらに二時間扇風機の風に晒す。するとどうだろう。おお、家鴨の皮がカサカサ(あまりいい表現ではないが、まさにそう)になっているではないか。いかにも焼けば皮がパリパリなりそうな感じ。そうか、youtubeの動画で最低でも四、五時間扇風機に当てろと言っていたのは、こういう状態にしろという意味だったか。フムフム。そう勝手に納得した後、いよいよ焼きの作業に入る。焦げ付き防止のために家鴨の全体に油を塗った後、二百十度に熱したオーブンに投入。五分焼いた後、百五十度に温度を下げる。これは、鶏を焼くのと逆。鶏の場合、低温で焼き始め、後から徐々に温度を上げて行くのだ。なぜ家鴨の場合逆にするのかは、よくわからん。皮に糖分が載っているので、下手に焼くとすぐに焦げてしまうからか。確かに最初に高温でもう一度全体的に乾燥させた後、低温でじっくり焼く焼き方だと、焦げ付きのリスクは低いような気がするわな…。まあ、いいや。ごちゃごちゃ言ってる暇があったら、取り合えず焼いてみるか。私は理屈であれこれ考えることは苦手。理論よりも実地の経験を貴ぶ実践派なのだ。焼きムラが出来ないように十五分毎に天板を回転させながら四十五分間。下の写真は十五分毎の焼き加減。

最初の十五分経過。まだ生焼け状態。

三十分経過。徐々に焼き目が付き始めた。そして、さらに十五分経過。まだ焼きが足りない感じがしたので、百七十度に温度を上げあと三分だけ焼くことに。三分後に取り出すと。

うん、いい感じではないか。香港のロースト専門店そのまま、と言ったらちょっと言いすぎだが、十分綺麗ではなかろうか。多少焦げ目がついてももうちょっと焼いて焼き目を濃くした方がいいような気もするが、却って台無しになっては元も子もない、今回はこのくらいに留めておこう。

どうです、このテリ。暫し見とれて、いつしか口元が綻ぶ。実を言うと私が家鴨を焼くのは前々回が初めてではない。それ以前から、それこそ十年以上前から焼いていたのだ。だが、一度として満足な焼き上がりになったためしがなかった。焼きムラができたり、均等に焼けてもても艶が出なかったり。こうして、一応むらなく全体に照りがついたのを見て感無量である。よく考えたら、全部中国の方が投稿した動画の通りにしただけで、何一つ私の創意工夫は入っていないのだが、それでも嬉しいものは嬉しい。広東ローストの飴色の輝きに魅せられて、それ以来ん十年、叉焼、クリスピーポーク、クリスピーチキンと焼いてきたが、家鴨は見た目においても味の上でもその中の極致だと思っていたので、今回一応他人に見せて恥ずかしくないものが出来て、ある意味一つの到達点に達したような気がしている。(何を大袈裟な、と笑はば笑え。そういう奴はどうせ物の値打ちがわからんつまらん奴だ。)

よし、能書きはそのくらいにしてそろそろカットしてみよう。

ちょっと、皿が小さかったかな。もう一回り大きな皿で余裕を持たせた方が見栄えがよかったろう。また、切り方も工夫が足りなかった。これは、後知恵だが、胸肉にあたる一番右上左上の部分はもっと薄くスライスして別皿に盛ればよかった。そこだけ甜麺醤をつけ餅(ピン)で包み、それ以外の部分は酸梅醤をつけて食べれば、北京ダックと広東ロースト、二通りの味が楽しめたであろうに。まあ今更言っても、後の祭り。それは、次回の楽しみに取って置こう。

全景を撮影。本当はもう一品魚料理を用意したかったのだが、近所のスーパーに適当なのが入っていなかったのであきらめることに。まあ、これだけでも十分お腹いっぱいになるでしょう。

では、実食。肝心のお味は?

残念ながら、期待ほどではなかったというのが正直な感想。あまり食材のせいにするのは、気が引けるが冷凍ものよくない所がでてしまったという印象。同じ冷凍ものでも前回のマレーシア産は、臭みもなく、柔らかで十分美味しかったが、今回のタイ産はちょと固くて癖がある。悲しいかな、これが冷凍ものの限界か。いずれ国内の業者とコンタクトを取って、冷凍ものでない新鮮な家鴨を焼いてみるか。

ただ、パリパリのサクサクで皮は文句なく美味かった。それだけは念のため。

干烧斑魢

”斑魢”とはメジナ(グレ)のこと。

前からこの魚には”干烧”(煮汁を具材に煮含ませながら煮つめて行く調理法)に合うんじゃないかと考えていたのだが、近所のスーパーでちょうどいい大きさのものがあったので早速試してみることに。

予想以上に美味かった。

旬は冬で温かくなるにつれ磯臭くなると聞いていたので、ある程度は仕方ないかなと思っていたのだが、まったくクセはない。上品な白身魚。身は柔らかく適度に締まっている。何となく水っぽいチヌより美味しんじゃなかろうか。

また、調理法の”干烧”も上手く行った。写真の魚の上に載ってる赤いのは唐辛子なのだが、ピリ辛の味付けが淡白な魚に実によく合う。煮汁の染みた椎茸やザーサイまで美味しく、おかげでご飯が進みました。

それにつけても、日本の中華料理店はなぜこういう魚料理を出さないのか、とつくづく思う。日本人は魚なら割烹や居酒屋で食うという考えであまり中華に期待していないのかもしれないが、中国料理の魚料理の調理法は実に多彩である。それらをもってすれば、日本人が普段見向きもしないような魚でも、「これがあの魚か!」とびっくりするほど美味しく食べられることがあるのだ。それなら安く提供できるし、またお客も喜ぶから、双方得して損なしだと思うのだが。私がお店の経営者なら、そういう料理を必ず出す。いや、来日の予定がある中国人料理人の中で志のある者なら、きっと日本の豊富な海産物を使ってやろうと考えることだろう。恐らくそれこそが本当の意味での"日本式中国料理"なのだ。どうです、日本の中華屋の皆さん、あなたがたの店でそういう料理を出してみては。中国人に先を越されて悔しがってもその時は後の祭りですよ。

药材排骨汤

薬膳スープ。

私にとっては、シンガポールのホーカーズ(屋台村)の味。市内各地のホーカーズに最低でも一軒はこれ専門の店があり、ホーカーズ訪れた際は必ず利用していた。

どこかのホーカーズ(大抵”マックスウェル”か”ラウパサ”)に一日中入り浸るのが、私流のシンガポールの楽しみ方。あちこちの屋台を梯子してローカルフードを満喫するのだ。ただ、その時気になるのが健康。ホーカーズで出される料理は屋台と言ってもジャンクフードではないのだが、ついつい一緒にビールを飲み過ぎてしまう。気が付けばいつしかへべれけに。一度だけならどうってことないが、二度三度続くとさすがに罪悪感が芽生える。「あ~あ、こんなの体に良いわきゃないよな」と思った時、ふらふらと足が向くのがこうした薬膳スープの店だった。

もっとも中に入っている漢方薬は毎日摂取して初めて効果を現わすもの。短い滞在期間にニ三度飲んだからといって、本当に効いているのかどうかは正直怪しい。

ただ、湯気と共に立ち上がるあの薬臭さを嗅ぐと何となく体調が整ってくるように感じるのは事実だ。我々東洋人の頭には〈漢方=体にいい〉という図式が出来上がっていて知らず知らずのうちに暗示にかかっているだけの話かもしれないが。

今回使った薬材。私は別に漢方の知識が特にあるわけでもなく、一つ一つの効能を知っているわけでもない。「前飲んだスープにこんなの入ってたよな」という記憶を頼りに適当に調合してみただけ。唯一意識して入れたのが一番手前の”草果”。先日”滷水”を作った時にも使ったが、整腸作用があるのだとか。実を言うと、最近胃の調子があまりよくない。常に胃酸が喉元にこみあげてくる感じがする。先々月仕事で忙しかった時、眠気覚ましにコーヒーをがぶがぶ飲み、そのくせ脂っこいものを食べていたのが祟ったか。それで敢えて”草果”を入れて見たのだが、これを飲んだ翌朝胃の調子がいい。胃酸の逆流もそれ程でもなくなった。食欲も戻ってきた。そう考えると、やはり漢方ってのは実際の効果があるのかな。

ちなみに写真の薬材は神戸の南京町のある店で買ったもの。日本では、多分煎じて飲む人がいないからだろう、漢方医に特別に頼んで分けて貰わない限りこうした漢方薬の原型は手に入らないと聞いていたのだが、この店を訪れると普通に売っていた。場は”味覇”で有名な広記商行の斜め向かいと言えば、わかる人にはわかるだろう。

一緒に作ったものの全景。

手前はアヒルのロースト。あまり綺麗に焼けなかった。

北京ダックと同じで焼く前に糖を溶かした酢を塗ってあるのだが、皮に糖分がのると途端に焼きの難度が跳ね上がる。

ヒルは好物の一つなので、残念至極。近いうち再チャレンジしたい。

潮州鱼饭(冻鱼)

前回滷水,蠔饼を作ったが、潮州料理と来たらこれを作らない訳には行くまい。

名前に「魚飯」とあるが、別に米を使う料理ではない。美味しくてついついご飯が進む、という意味らしい。岡山の「ママカリ」と同じ発想のネーミングか。

大きい方が金目鯛で手前の小さいのはキンキ。近所のスーパーで適当な尾頭付きが見つからずずっと作れないままでいたのだが、たまたま昨日姫路に行ったところ駅構内のスーパーでこの二匹を発見。即購入、自宅で調理した次第。

火を通してあるのに通す前とほぼ同じ姿を保っているのにお気づきだろうか。それは、鱗を取らずに蒸しているから。この料理は漁師が漁船の上で食べていた食べ方が元になっているそうで、彼らは海の上ゆえ十分な調理器具もなく、また味が抜けるという理由から鱗を取らずにそのまま魚を茹でていたのだとか。そうすると、鱗がガードするからだろう、火を通した後でもこんな風に活きていた時とほぼ同じ姿を保つのだ。そういえば、昔九龍城の名店「創発潮州飯店」に行ったとき、別のテーブルでこれが並んでいるのを見たことがあったっけ。あの時は、「火を通してあるはずのになんであんなに綺麗な色をしているのだろう?」と不思議に思ったものだが、まさかそんな調理法だったとは、そのときは知るよしもなかった。

ただ、出来上がった時の様子が美しいのはあくまでもこの料理の副産物に過ぎないだろう。香港のレストランでは”大目鶏”(日本の”のどぐろ”?)とか、頭がオウムに似た”石馬頭”とか色彩も華やかな見栄えの良い魚が使われることが多いが、地元潮州ではそんな選り好みはしない。漁港にそれ専門の業者がいるのだが、彼らが使用するのは、サバやらアジやら(一番ポピュラーなのは”ボラ”)、果てはイカやエビまでそれこそありとある海産物。また、今回私が作ったものは塩以外に臭み止めとして酒や生姜を加えているのだが、上記の業者はそんな手ぬるいことはせず、鱗はおろかエラもはらわたも取らずまるまる海水(!)で茹でるのである。地元の漁港の様子がyoutubeでみられるが、茹で上がった魚が所狭しと並べられた光景は、魚の匂いがこっちにまで伝わって来そうで壮観でさえある。実際に匂いが相当きつくなるのだろう、中国人でも他の地域の人には敬遠する人もいるそうだが、地元の人は一向に気にしないらしい。恐らくは、そうした臭みも含めて海の風味をまるごと味わうのがこの料理の本来の趣旨なのではあるまいか。

試食。金目鯛は普通に金目鯛の味がする。鱗がついてままなので生臭いかなと心配だったのだが、そうでもない。まあ、そんなに癖の強い魚ではないので、それも当然か。

キンキの方も普通に美味しかったです。

しかし、私はこの料理を見るにつけ、「日本料理に似ているな」という感想を抱かずにはいられない。日本でこんな風に魚を食べる習慣があるのかどうかは知らないが(”アマダイの松かさ焼き”というのがあるが」、あれは多分例外だろう)、漁師のまかない飯がそのまま一般の料理に取り込まれているそのあり方が何となく和食を思い起こさせるのだ。また、潮州料理はこれに限らず前回作った”牡蠣オムレツ”とか魚介を使った料理が実に多い。だから、私はこの潮州料理こそ同じく魚好きの日本人に最も向いている中国料理だと思うのだが、日本式中華が幅を利かす現状を見る限りでは普及するまでに果てしない道のりを辿る必要がありそうである。

今回作ったものの全景。奥の鶏料理はお馴染み”鹽焗鶏”(イムゴッカイ)。右手はスペアリブの薬膳スープ。

イムゴッカイはちょっと火が通り過ぎた。焼き時間は五十分でも、余熱時間は十五分に留めるべきだった。

煎蠔饼

”牡蠣オムレツ”。最初の全体写真のものが、今一つだったので作り直した。

一口に”牡蠣オムレツ”といっても、言語の違いによるのか地域によって呼び方も異なる。台湾では「蚵仔煎」、潮州では「蚝烙」、そして香港では「 煎蠔饼」という呼称が一般的(?)。レシピも地域差があるらしく、潮州や香港では生地と具材を最初に全部混ぜて置くのに対し、台湾では最初に具材の牡蠣を焼き、そのあと生地、溶き卵と順に加えて行くのが主流のよう。(ちょうど大阪のお好み焼きと広島焼きの違いか。ただ、これは料理人の都合でたまたまそうなっているだけかもしれないが。)あと、使う材料も違う。台湾では普通生地にさつまいも粉を使い、潮州では、蓮の実粉と、鶏卵ではなく家鴨の卵を使うのが特徴。一方、香港では小麦粉とタピオカ粉を混ぜる。粉の違いは食べ比べてないのでよくわからない。小麦粉や片栗粉と違って軽い歯触りになるのだと思う。

私は、最初日本の大振りで水気の多い牡蠣を使うのなら台湾方式がいいのかなと思ったのだが、実際作ってみるとイマイチ。もっちゃりした食感になる。私は外側がサクサク、カリカリが好きなのだ。また、私の焼き方が下手なだけかもしれないが、生地と牡蠣と卵の部分がまだらになって見栄えがよくない。そこで、たまたま手元にタピオカ粉があったので香港方式に切り替えることに。一応成功。私の好みの味に近いものになりました。

一緒に作ったのは”鹽焗鶏”(イムゴッカイ)。今までの反省から焼き時間を調整。180度のオーブンで五十分、火を止め余熱で十五分。これでパサパサになることなくしっとりジューシーな仕上がりになると思う。

3月21日追記

上の写真の形がよくなかったので、くどいようだがもう一回作り直した。でも、味は前のやつがよかった。どうもちょっと水を多めにして生地を薄く広げた方がサクサクになるようだ。文字にすると当たり前だが、実際作ってみないとわからない。ただ、サクサクにしようとすると大量の油を使用するので、あんまり健康にはよくないな。




 

 

 

 

 

滷水拼盘

”滷水”の二種盛り合わせ”。これは、私の好物。潮州料理のレストランでこれを肴にワインなんぞをちびちびやるのが、かつての私の楽しみの一つだった。

写真の料理は、豚足と”翼鶏”つまり手羽先を使っている。家鴨と豚の臓物がポピュラーな具材で本当はそっちで作りたかったのだが、日本では両方とも新鮮なものが手に入らないので諦めた。食の選択肢が多いようで実は貧相なものしか食っていないというこの国の悲しい現状である。あと、茹でた卵も定番の材料なのだが、半熟にしたのはちょっと失敗だった。そっちの方が美味しそうに見えるかなと思ったのだが、こうして写真で見ると何か違う。やはり外国の料理に下手に日本流を入れると結局はちぐはぐにしかならないのだ。まあ、”牡蠣オムレツ”という卵を使った料理があるのに、さらに卵ではくどいというだけの話かもしれないが。

前回も書いたが”滷水”というのは要するにスパイスを利かせた煮汁のこと。今回使ったスパイスは下の写真の通り。殆どスーパーで買えるような物ばかりだ。右上の丸っこいものだけが馴染みが薄いかもしれないが、”草果”といって火鍋に必ず入っているものだと言えば、「ああ、あれか」と思い当たる人も多いだろう。こればっかりは近所では売ってないので、神戸の南京町で買って来た。

豚足はトロトロ。ねっとりとした食感がたまらない。ただここまでなるには相当時間をかける必要がある。動画のレシピでは一時間半と言ってるのが多いが、それだと無理。写真は四時間煮込んだもの。

潮州菜

”潮州”は、広東省の最南端、福建省と境を接した地域。海に面し、良質の漁場に恵まれているので、料理は新鮮な魚介を使うのが特徴。一応”広東料理”の一種という扱いなのだが、魚などちょっと独特の食べ方をするので、中国よりさらに南方の匂いがするという印象。

私事を言えば、昔よく行っていたシンガポールに潮州出身者が多く、市内に潮州料理専門のレストランも少なくなかったので、訪問の際は必ず一度は口にし、いつしか馴染みの味になっていた。今回は昔を思い出し、自分の好物をいくつか作ってみた。画面奥は”滷水”と呼ばれる要するに肉のスパイス煮込み。画面右は、日本でもおなじみ”牡蠣オムレツ”。左は以前レストランで食べた料理をイメージして作った”魚介と春野菜の炒め”。

锅贴

焼き餃子。日本式中華が嫌いな私にとって、チャーハンと並んで最も忌むべき食べ物。しかし、日頃悪口を言ってる分、まともに食えるものが自分で作れないと癪に障るので再挑戦。

前回作った時は一枚一枚伸ばしていたが、今回は生地全体を伸ばして型抜きした。こうした方が、確実に薄い皮が出来る。おかげでまあまあ成功。一枚づつ伸ばしたときはゴリゴリのガリガリだったが、今回はパリパリのサクサクに仕上がった。

自宅にある型のサイズの都合上、一つ一つがやや小ぶりになってしまった。あんまり餃子っぽくないが、ただ食べやすいのは確か。