cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

焼味

広東式ロースト。私が日本の中華屋さんに行かないのはこれを出す店が殆どないから。外資系のホテルのダイニングを別にすれば、横浜中華街の老舗「同發」とそれに神戸に一件、そのくらいでしょうか。あと、専門店が何軒かあるようですが、駄目なんです、レストランで前菜としていただくのでなければ。飴色の輝きがその日の食事の劈頭を飾る、その華やぎが好きなんです。もしかしたら今後増えるのかもしれませんが、さあどうでしょう。日本人は揚げ物が好きですから、鳥皮のパリパリなど見向きもしないんじゃないですかね。何倍も手間がかかるのに注文が出ないんじゃ、お店の人が置きたがらないのもわかります。だとしたら、自分で作るしかない。最も家庭で作るのに向いていないこの料理を敢えて自分の家で作る理由です。まあ、たかが食い物一つでそこまで気負うこともないのですが。

叉焼

焼味の中で唯一普通に食べられる一品。一口に叉焼と言っても地方によって種類は様々。写真は広東式。食紅(健康を気にする方は紅麹米をどうぞ)で色をつけ、仕上げにはたっぷりの蜂蜜を。ただ、自宅で焼くときは国産肉を使いましょう。味の落ちる輸入物だと途中で飽きてしまいます。

②焼肉

クリスピーポーク。工程は複雑ですが、ご自宅にオーブンがあり手順と焼き時間さえ守れば誰でも香港のあの味を再現できます。

ただ、烤乳猪にはかなわない。子豚の薄く柔らかい皮だからこそサクサクになるんです。

③脆皮烧鸡

クリスピーチキン。家禽のローストは①や②よりもちょっと難しい。皮をパリパリにしようと思ってつい焼き過ぎると、鳥の肉はパサパサになってしまいます。ジューシーさとパリパリ感を両立させようとするなら、少し短めに焼いた後、ザーレンに置き熱した油を回しかけるのがよいのではないでしょうか。肉はミディアムレアのまま皮にだけ火を通すことができます。ただ、油がバチバチ跳ねるのが難点。

 

ここで烤乳猪について蘊蓄話を一席。私がこれを初めて食べたのは香港湾仔のさるレストラン。衝撃でした。喩えは悪いですが蝦煎餅のようにサクッとして舌の上で消えて行く軽やかさ。昔グルメ漫画の「美味しんぼ」で主人公の山岡さんが「本当に美味しい子豚の丸焼きはパリパリではなくサクサクしている」と言っていましたが、ああ、あれは本当だったんだと思いました。この「サクサク」「パリパリ」の食感の違いは当然中国人も区別していて、清代の文人遠枚の有名な著書「隋園食単」に次のような一節があります。「食う時に酥らかなのが上等、脆いのがその次」(岩波文庫青木正児訳)文中の「酥」「脆」という漢字は、クリスピーポーク等を食べる時中国の方がよく「脆脆酥酥」という言い方をするので両方とも「パリパリ」「サクサク」の食感を表す漢字だと思うのですが、「酥」の方は特にクッキー生地を指したりしますから、やはり「酥」が「サクサク」、「脆」が「パリパリ」の食感を言い表していると考えて差し支えないのではないでしょうか(違ってたらゴメンナサイ。)ただ、では絶対に「サクサク」が上等で「パリパリ」が劣るかと言うと、必ずしもそうとは言い切れないのが面白い所。香港の有名な美食家チャイラン氏によると、子豚の丸焼きには二通りの焼き方があって、広東式では皮に気泡を生じさせて「サクサク」にするが、潮州式では敢えて気泡を作らず「パリパリ」の食感を狙うのだとか。なるほど、奥が深い。思わずうなってしまいました。でも、そんなことを聞いたらその潮州式の丸焼きとやらを賞味したくなるのが人情ですよね。広東省潮州市にはなかなか足が向きにくいですが、幸い日本人にも人気の観光地シンガポールは潮州からの移民が多く潮州料理を提供するレストランも少なくありません。(その中でも最も有名なのがチャイラン氏も絶賛するチャイナタウンの「發記」。私はかつて予約までしたんですが同席者の都合で流れてしまった。無念!)もし渡航の機会があればレストランに足を運び、広東ローストの奥深さを体験するのも一興かと。