cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

潮州鱼饭(冻鱼)

前回滷水,蠔饼を作ったが、潮州料理と来たらこれを作らない訳には行くまい。

名前に「魚飯」とあるが、別に米を使う料理ではない。美味しくてついついご飯が進む、という意味らしい。岡山の「ママカリ」と同じ発想のネーミングか。

大きい方が金目鯛で手前の小さいのはキンキ。近所のスーパーで適当な尾頭付きが見つからずずっと作れないままでいたのだが、たまたま昨日姫路に行ったところ駅構内のスーパーでこの二匹を発見。即購入、自宅で調理した次第。

火を通してあるのに通す前とほぼ同じ姿を保っているのにお気づきだろうか。それは、鱗を取らずに蒸しているから。この料理は漁師が漁船の上で食べていた食べ方が元になっているそうで、彼らは海の上ゆえ十分な調理器具もなく、また味が抜けるという理由から鱗を取らずにそのまま魚を茹でていたのだとか。そうすると、鱗がガードするからだろう、火を通した後でもこんな風に活きていた時とほぼ同じ姿を保つのだ。そういえば、昔九龍城の名店「創発潮州飯店」に行ったとき、別のテーブルでこれが並んでいるのを見たことがあったっけ。あの時は、「火を通してあるはずのになんであんなに綺麗な色をしているのだろう?」と不思議に思ったものだが、まさかそんな調理法だったとは、そのときは知るよしもなかった。

ただ、出来上がった時の様子が美しいのはあくまでもこの料理の副産物に過ぎないだろう。香港のレストランでは”大目鶏”(日本の”のどぐろ”?)とか、頭がオウムに似た”石馬頭”とか色彩も華やかな見栄えの良い魚が使われることが多いが、地元潮州ではそんな選り好みはしない。漁港にそれ専門の業者がいるのだが、彼らが使用するのは、サバやらアジやら(一番ポピュラーなのは”ボラ”)、果てはイカやエビまでそれこそありとある海産物。また、今回私が作ったものは塩以外に臭み止めとして酒や生姜を加えているのだが、上記の業者はそんな手ぬるいことはせず、鱗はおろかエラもはらわたも取らずまるまる海水(!)で茹でるのである。地元の漁港の様子がyoutubeでみられるが、茹で上がった魚が所狭しと並べられた光景は、魚の匂いがこっちにまで伝わって来そうで壮観でさえある。実際に匂いが相当きつくなるのだろう、中国人でも他の地域の人には敬遠する人もいるそうだが、地元の人は一向に気にしないらしい。恐らくは、そうした臭みも含めて海の風味をまるごと味わうのがこの料理の本来の趣旨なのではあるまいか。

試食。金目鯛は普通に金目鯛の味がする。鱗がついてままなので生臭いかなと心配だったのだが、そうでもない。まあ、そんなに癖の強い魚ではないので、それも当然か。

キンキの方も普通に美味しかったです。

しかし、私はこの料理を見るにつけ、「日本料理に似ているな」という感想を抱かずにはいられない。日本でこんな風に魚を食べる習慣があるのかどうかは知らないが(”アマダイの松かさ焼き”というのがあるが」、あれは多分例外だろう)、漁師のまかない飯がそのまま一般の料理に取り込まれているそのあり方が何となく和食を思い起こさせるのだ。また、潮州料理はこれに限らず前回作った”牡蠣オムレツ”とか魚介を使った料理が実に多い。だから、私はこの潮州料理こそ同じく魚好きの日本人に最も向いている中国料理だと思うのだが、日本式中華が幅を利かす現状を見る限りでは普及するまでに果てしない道のりを辿る必要がありそうである。

今回作ったものの全景。奥の鶏料理はお馴染み”鹽焗鶏”(イムゴッカイ)。右手はスペアリブの薬膳スープ。

イムゴッカイはちょっと火が通り過ぎた。焼き時間は五十分でも、余熱時間は十五分に留めるべきだった。