cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

咖喱鱼头②

フィッシュヘッドカレーの起源については諸説ありますが、よく知られているのがガイドブックにも載っている、レストランで捨てられていた魚の頭を何とか再利用できないかと料理人が頭を捻って考案したというもの。

でも、この話はちょっと出来すぎかなあ。ただ魚の頭が廃棄物だった云々は満更嘘でもないような。そういう考えが頭の隅にあったからこそ魚のアラを使ったのですが、それが失敗だったのは前回書いた通りです。

スーパーで売っているアラだと、所詮見切り品なので鮮度が悪く魚臭くなっちゃうんですよね。ただ、もっと深刻な問題が…。それは、魚のカマの部分のぶつ切りだということ。ぶつ切りゆえに過熱している内に煮崩れし、小骨が汁にこぼれてくる。皆さんがどういう風に召し上がっているか存じ上げませんが、カレーって少なくともよく噛んで食べる料理ではないですよね。何の気なしに呑み込んだ米に小骨でも鋭いタイの骨が紛れていたとしたら…考えるだけでも怖いでしょう。だから避けた方が無難だという訳です。

そこで今回は、魚一匹丸ごと使うことにしました。丸々魚一匹なら多少煮込んでも煮崩れする心配もない。また、サイズの貧弱さもカバーできる。日本では本場みたいな大迫力の魚の頭は手に入りにくいですから。でもそうなると、ただのフィッシュカレーになっちゃうか。まあ頭もついてるんでフィッシュヘッドということにしときましょう。

使った魚はチヌ。買い物に行った時天然もののタイが売ってませんでした。ただもしあったとしてもどっちにするか迷っていたかもしれません。これはじっくり食べ比べて確認したわけではないのですが、どうも日本のタイはあまりにもタイの風味が強すぎるような気がする。シンガポールのタイはもっとあっさりしてるんですよ、「それ、タイだよ」と言われて初めて気づくほど。だから、どんな料理にもよく合う。それに比べて、日本のタイは…、うーん。単体で食べたら美味しいんですけどね。その点チヌは真鯛よりもあっさりしているから、却ってこの料理に向いているんじゃないかなあ…。多分。あんまり自信はないんです。チヌという魚をそんなにたくさん食べたわけではないんで。でも、これしかないんで仕方ありません。とりあえず今日のところはチヌで作ることにしましょう。

買って来た身を下処理して二つにぶった切り。酒をまぶし生姜と葱塗れにして十分置いた後、熱したフライパンに投入しました。焼いたのは、あるインド人の方のレシピを参考にしたから。シンガポールでは魚の頭を蒸すんですが、動画を投稿されたその方によると南インドでは伝統的に川魚を使いそれを最初に焼くのだとか…。どうでしょう、皆さん。私はこれがフィッシュヘッドカレーのルーツだと思うんですが。インドで魚の頭を使ってカレーが作られていたとしたら、それがシンガポールよりも後ということはないですからね。冒頭でご紹介した捨てられていた魚云々の話も、渡り住んで来た南インドの人たちが廃棄物を利用して郷土の味を再現した、或はシンガポールの人たちが南インドの郷土料理を真似て廃棄物の魚を使い始めた、そのどちらかだと思います。

ちょっと、余計な能書きが多くて全然作業が進んでいませんね。真面目に料理を続けましょう。鍋で油を熱し、カレーペーストを炒めた後、タマリンドを溶いた水を注ぎ、沸騰したところで先ほどの魚とその他の材料を投入、十分ほど煮込み、最後にココナッツミルクを加え味を調えて完成です。早速、味見を。

うーん、微妙。前回のような魚臭さはありません。さっぱりしている。でもさっぱりしすぎているような…。そうだ、魚の身をちょっと食べてみましょう。あー、なるほど。不味くはないです。いや、生臭さが全くなくて、むしろ美味しいです。ただ、あっさりしすぎている。煮汁にジュワジュワいいお出汁が出るという感じじゃないですね。さっきの嫌な予感は的中してしまいました。でも、だからといってチヌを責めてるんじゃありませんよ。お刺身か塩焼きにしていればきっと美味しく食べられたことでしょうから。カレーには向いてなかったというだけです。全て、向いていない魚をチョイスした私の責任。ごめんね、チヌちゃん。

あと、スパイスの美味しさが全然ありませんね。美味しいカレーは、スパイスがこじんまりまとまるんじゃなくて、一つ一つが鮮烈に自己主張する、というのが私の持論なんですが、これは駄目です。スパイスが全部死んでいます。カレーとしては落第です。

とにかく、完敗。こんなものを出した日にゃ、シンガポールだと三日で店は潰れるでしょう。

魚の出汁を味わう料理なのに、出汁作りの詰めが甘かったですね。魚一匹丸ごと使ったくらいで安心した私が浅はかでした。本場の超特大フィッシュヘッドに匹敵する濃厚な出汁を取るためには、具として食べるのとは別にあらかじめ大量の魚で出汁を取っておかなくては。具材だけに頼ると、味が貧相になる。ホッケンミーで得た教訓を早速忘れてしまうとは!

また、市販のカレーペーストに頼ったのもまずかったです。メープロイのカレーペーストはそんなに悪くない印象だったのに…。所詮はインスタントといったところでしょうか。やはり、一からスパイスを炒めて作らないと。手抜きは駄目。世の中には”時短”がどうのこうの言ってる人がいますが、手抜き料理で美味しいものが出来る訳がありません。

「心のこり」を残す料理となってしまいましたね。私がフィッシュヘッドカレーで思い出すのは、その昔ボートキーのとあるインドネシア料理店で食べたあの一杯。濃厚ではあるが全く魚臭くない良質の煮汁、鼻腔の奥を擽るような薫り高いスパイス、流れ出る汗も構わず、それこそ皿をなめ尽くすほど…。おっと、これは筆が滑った。冒頭述べたように小骨の危険がある。そんなことをすれば、救急車に乗せられて病院送りになっていたことでしょう。まあ、それくらい旨かった、ということです。願わくはあの味に一歩でも近づきたい。その夢をかなえるべく、近いうちにまたリベンジ(再挑戦くらいの意味です)を果たしたいと思います。