cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

狮子头

要するに大きな肉団子。女性の拳大程に作る。

肉を細かく砕いて丸めるというのは、割と普通に考え付くアイデアなのだろう、相当古い時代から作られていたらしく、北魏時代に著された「斉民要術」には既に製法が記されてある。

一方、名称だが今のものに落ち着くまで様々な変遷があったとか。隋の時代、煬帝こと楊広が京杭大運河完成後江南地方に行幸したのは史上名高いが、訪れた揚州でこの料理が供された際、土地の景勝地にちなんで”葵花斬肉”と名付けられたという。

獅子頭”の名称が現れるのは、唐は玄宗の時代。郇国公韦陟が、ある宴席で来客から自身の武勲を讃えられてすっかり上機嫌になり、それなら”獅子のように雄々しく”という意味を込めてこの名に改めたという逸話が伝えられる。

ただ、上記二つのエピソードは稗史野史の類で信憑性は乏しいらしい。恐らくは、その形状から誰かが"葵の花"や"獅子の頭"に見立てたのに後から尾ひれがつき、そうした挿話が出来上がったのだろう。ただ、肉団子などという無粋な呼び方をせず、雅語を用いて風情ある名前を考えるところは、いかにも中国人らしい嗜みを窺わせて興味深い。

現代史においてもこれまつわるエピソードがあり、私が必ず思い出すのはかの周恩来首相がこれを得意料理にしていたというもの。外国から賓客が訪れた際は周氏自ら腕を振るってもてなしていたのは有名な話。(キッシンジャーは食べたのか?)

中国の場合、料理といえどもこんな風に様々な来歴逸話があって興味が尽きない。

個人的な体験で恐縮だが、以前ある中国人と話をしていた時、この料理が話題に上ったことがある。私が中国料理を作っていると知った相手が、「じゃあどんなものを作るのか?」と尋ねて来るので、「これなんかよく作る」と答えたところ、向こうは思わず吹き出し「それはただのハンバーグだよ」と言われてしまった。その時は笑われて心外だったが、冷静に考えれば肉を刻んで丸めるだけだから確かに単純な料理である。ただ、この誰にでも作れる、いわば家庭料理と地続きの親しみやすさは、獅子頭に限らず江南料理一般の美点でもあるのだ。また、珍味佳肴を過度に追求せず、ありきたりの材料をシンプルに調理するやり方は、一種の"自己抑制"や"節度"に通ずるものがあるだろう。「広東料理は商人の料理、江南料理は文人の料理」という有名な言葉には、そうした意味も込められていると私は勝手に考えている。

単純な料理と書いたが、それなりに手間はかかる。この料理を作る時、市販のミンチでは駄目で、必ず固まり肉を用意する必要がある。それを半分を米粒状に、もう半分を細かく砕いてよく捏ねる。そうすることで肉のしっかりした味わいと柔らかさを両立させるのだ。噛みしめた後に口の中でとろけるその美味しさたるや、ただの”中華ハンバーグ”と侮るなかれ!

ただ、今回は失敗。店頭にそれしかなくてメキシコ産を使ったのだがそれがいけなかった。メキシコ産はカナダ産やアメリカ産に比べると遙かに美味しいのだが、この料理には向いてなかった。やはり国産に限る。国産の豚肉がとくに優れているとは思わないが、少なくとも冷凍はしていない。解凍ものはどうしても臭みが出たり、繊維が壊れて食感が悪くなる。魚や鶏肉以外も、やはり鮮度が重要なのだ。

あと、いつも”紅焼”、つまり揚げ焼きした後甘辛い醤油煮込みにするのだが、今回は上海ガニとのバランスを考え清湯仕立てにしてみたのだが、それもよくなかった。ちょっとあっさりしすぎで、また見栄えもよくない。もし清湯仕立てにする時は、団子に蟹肉かエビを加えるべきだと思った。