cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

佛跳墙

我が家ではもはや正月恒例になった観のあるこの料理。

最近中華圏を旅行しておらず、乾物類のストックが枯渇してろくなものが入っていないのだが、フカヒレとナマコだけは入れているので、「佛跳墙」と名乗ることをギリギリ許されるのではないかと思っている。

「美味しい食材を全部入れて煮込んだらきっとメチャクチャ美味くなる」という食いしん坊の思い付きをそのまま具現化したようなこの料理。単純な発想だけに同じことを考える奴がどこの国にもいるらしく、辻静雄先生のご著書によればフランスの「ドダン・ブーファンの生涯と情熱」という小説に「佛跳墙」と同じく”全部入り”スープの話があり、それをアレクサンドル・デュメーヌという料理人が本当に作ってしまったのだとか。これぞ、知る人ぞ知る"ドダン・ブーファンのポトフ"!  これなど、さしずめ西洋版「佛跳墙」と言ってよいだろう。ただ、フランスでは小説版が”全部入り”だったのに対し、実際にデュメーヌが作ったものは牛やら鶏やらのスープを別々に出すフルコースだったそうな。恐らくフランス人は色んな物が一つの器にごちゃごちゃ入っているよりも、純粋に素材単体の味を楽しみたい人々なのだろう。あと今書いたことと結局同じことかもしれないが、東西で大きく異なる点が一つある。それは、「佛跳墙」が鮑やら帆立やら魚介のエキスが濃厚であるのに対し、フランスの方が使う食材があくまでも牛、豚などの家畜類である点。なぜそこに魚が使われていないのか? 遊牧民であった満州族には海のものと陸のものを同時に食べてはいけない禁忌があったというが、フランスに同じようなタブーがあるとは聞いたことがない。恐らく彼らにとって美食の主役はあくまでも家畜の肉でありーもちろんフランス料理のメニューにも美味しい魚料理があるにはあるがー、そこに魚の味をプラスするという発想がそもそもなかったというのが大方の理由だろう。日本で”魚介ダブルスープ”を売りにするラーメンがあるが、魚介と肉の旨味があわさった味を美味しいと感じるのは、もしかするとアジアの中でも国土に海岸線を有する民族だけの特色なのかもしれない。

あと、前菜として孔雀を象った大皿料理を作った(こういう生き物を象った前菜を中国では「像生」と言うのだそう。)去年もこの手の料理を作ったが、

 

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並んでいる一つ一つは「蛋糕」と呼ばれる単なる卵の蒸し物で決して食べて美味しいものではなかったので、今回は実際に食べられるようにと色々内容を変えてある。具体的には、画面上方エビの上に並んでいるのは”如意捲”という薄焼き卵に鶏のすり身を塗り蒸したもの。孔雀の首の廻りは、ウズラのピータンの肉巻き、叉焼、あとテリーヌ・ド・カンパーニュをアレンジしたもの等等(羽の部分は色鮮やかにする必要があるので相変わらず「蛋糕」)ただ、皿とパーツの大きさのバランスが悪く、最終的に適当な並べ方になってしまった(肝心の首の造形など超テキトー。)おかげであんまり孔雀に見えず公開するのを憚られたが、来年同じようなものを作る時の参考になればと、敢えて掲載することにした。