cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

港式点心 焼味

変わったものを作るといいながら、結局いつもと同じようなものを作ってしまった。来月から忙しくなり料理をする暇がなくなるので、その前に基本的なものを作っておきたかったというのがその理由。

叉焼包。生地が割れているのは失敗ではなく、わざとそうしていることをわかっていただけているだろうか。2日前から種を仕込んで育てた酵母菌と膨張剤の作用で生地を弾けさせるのである。出来がいいと三つに裂ける。写真は今回一番の"優等生"。

 

点心をつまみながら読書。

年明けから読み始めたバルザックの「暗黒事件」を読了。この小説を読んでシュテファン・ツバイクが興味を持ちフーシェの伝記を書いたことは有名な話。それが頭にあったので、渋い政治小説を想像していたのだが、実際は大通俗(いい意味で)ロマンだった。主人公が革命で殺された主人の財産を守るために敢えて悪役を演じているなど歌舞伎の"戻り"みたいだ。敵味方相乱れる中亡命先から戻ってきた主人の遺児を匿う場面のサスペンスの盛り上げかた、ペリー・メイスンも顔負けの法廷場面、そこから一転イエナ会戦前夜のナポレオンとの会見に雪崩れ込む展開など見事である。バルザックの奔放な筆致を堪能できる。惜しむらくは、主人公の主人夫婦が死ぬ革命の動乱の前史にあたる部分が概略に留まっていること。それで何だかクライマックスだけを抜き出したような印象を受ける。そこがきちんと描けていれば、もっと登場人物に感情移入できたのに。バルザックは大変着想が豊富な人なのだが、それゆえに筆が追い付かず梗概で終わっているものが少なくないのだ。(超がつく程の大傑作「幻滅」の続編「浮かれ女盛衰記」がそのいい例) もっともこの場合は、法廷場面に集中させるため、わざとそうしているのかもしれないが。

もう一つはヘロドトスの「歴史」。今ちょうど三巻目を読んでいるのだが、面白い。ペルシア王カンブセスが死に、簒奪者を倒しダレイオスが王位につくくだりは何かが取り憑いたようにヘロドトスの筆が思う存分に走っている。簒奪者を倒すべくダレイオスとその一味が王宮に攻め込む辺りなど一瞬ハリセンの音が聞こえて来るかと思うほど活劇調だ。だが、もっと面白いのは乱に際してのダレイオスの言動。反乱に誘われた時「やるんだったら今やれ、もたもたしていれば俺がお前たちを裏切るぞ」と逆に脅しにかかる果断さ。「人間、嘘をつくのも正直を言うのも欲得ずくである。得になるなら嘘を言ってもよいし、ならないのなら正直を言っても意味がない」と言ってのける現実認識の苛烈さ。大王の人となりを活写して余す所がない。また、反乱成った後の、君主制、寡頭制、民主制の体制の比較論も哲学的議論で興味深い。これだけでも実に内容が豊富で、古典と聞いて思い浮かべる平板さとおよそ無縁であることがわかるだろう。近年本を読んでこれ程興奮したことはなかった。だからこそ何にもましてまず古典を読むべきなのだ。