cognuts’s blog

一个日本人自己做正宗中国菜的博客。在餐厅一定要点炒饭和锅贴的人不要看。

脆皮烧鸡   閲覧注意!原型を留めたお肉が苦手な方はご覧にならないように!

先日妻が何を思ったかスーパーで丸鶏を買ってきました。「だって安かったから」「安かったからって…。お前確か、肝臓の数値が悪いて言ってたよな…。死にたいのか…」と、心配するようなことを言って置きながら、またぞろ料理にとりかかる私。こんなものを目の前にぶらさげられちゃあ、料理魂と食欲に火が付かないわけがない。私も女房も長生きできませんわい。

ということで、クリスピーチキンです。このブログで何度も紹介してきましたが、丸鶏で作ったものを載せるのは初めて。以前はよく作っていたんですけどね、あんまりうまく行きませんでした。それは、一つにはサイズの問題。日本で手に入る丸鶏と言ったら、二キロ以上のものが殆ど。この大きさだと、中心まで火を通そうとすると皮がどうしても焦げてしまう。皮と肉の焼き加減を両立させようとしたら、香港や大陸の人が使っているような一キロ前後のものがベストなのでしょう。

あともう一つは、こっちの方が大きな理由かもしれませんが、日本で適当な窯がないから。普通、中国の人が丸鶏(家鴨も)を焼くときは、レストランの厨房の石窯にせよ、ホームセンターで売ってるステンレス製のものにせよ、大きな甕状の窯の中に鶏を吊り下げて焼く。こうやって全体に満遍なく熱風をあててこそ、広東ローストのあの見事な焼き目に仕上がるんです。ところが、日本のオーブンは、家庭用にしても業務用にしても、ほぼ全てが鉄板の上に寝かせて焼くタイプ。これだと、下の鉄板にあたる部分が油でべちゃべちゃになります。だから、私は丸鶏を焼くときは、背中か胸の部分を切り離し、開きにして皮目が全て上を向くようにして焼いていましたが、これも結局はうまく行きませんでしたね。出っ張った手羽や腿に隠れて陰になる部分が出来て、そこだけ綺麗に焼き目が付かないんです。パリパリの皮が目当てなのに、これじゃあわざわざ作る意味がありません。何か、もっといい方法はないものか?と、考えていた時に妻が丸鶏を買ってきた。そこで、以前から考えていた別の方法を試すことに。

要するに、鶏の体を縦に一刀両断するというやり方です。側面が上になるようにして隠れる部分を極力少なくし、全体に満遍なく焼き目を付けようという目論見。あと、切り離した部分の皮が途中でめくれ上がらないように、切断面の近くに爪楊枝を杭のように打ちます。(その写真を掲載しようと思ったのですが、焼く前の肉に爪楊枝が棘のように突き刺さった様子がちょっとヘルレイザーの魔道士のようで生生しかったので割愛しました。)

そして、第二段階の下処理をして、いざオーブンへ。最初は四十分程、百五十度の低温で。大き目の鶏に火を通すときの、あるフレンチのシェフによるレシピを応用させてもらいました。頃合いを見計らって、徐々に温度を上げて焼き目を付けて行きます。そして出来上がったのが、これ。

どうです、見事な焼き目でしょう。自分でもびっくりするくらい綺麗に焼けました。しかも、油をまわしかけていません。以前このブログでクリスピーチキンを作った時、焼きあがった後熱した油をまわしかけると良いと書きましたが、そのやり方をすると確かに飴色の焼き目がついて綺麗なのですが、油の粒子が部屋中に飛び散って大変なことに。youtubeの中華教室でも紹介されていますが、正直家庭向きの調理法ではないですね。だから、今回一切油を使わずオーブンの温度調節だけで作りました。それでも、この焼き目!指先ではじくとコンコンと音がして、パリパリに仕上がったのが伝わってきます。では、食べやすいようにカットしましょう。


相変わらず捌くのは下手ですが、焼き目は文句なしです。で、早速味見を。ウーン、皮がパリパリ。しかもお肉がジューシー。中まで火は通っていますが、パサパサではない。若干腿と胸の部分が火が通り過ぎのような気もしますが、十分許容範囲。焼き時間の調節次第でもっとおいしくなりそうです。

そうだ、忘れないうちに背中の部分を頂きましょう。フランスでは「鷄の背中を食べないのはバカ」という諺があるくらい、背中の肉が珍重されているのだとか。うん、やっぱりおいしいですね。脂がのって、とろける感じ。腿や胸とは全然違う食感です。しかも、脂のせいか皮がパリパリを通り越してサクサクに。フフ。世の中に鶏肉好きはあまたいても、この背中の肉の贅沢を知っている日本人はそう多くないでしょう。そう思うとちょっと誇らしい気分になりました。

 

自分で言うのもなんですが、大成功。正月に作った佛跳墙以来の自信作です。

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二キロ台の大きさでも、また日本のオーブンでも、そして油をまわしかけなくても広東ローストが焼けることが証明できたことは大きな収穫でした。大きなお世話でしょうが、私はこの焼き方を特に中国料理に興味のない人にお勧めしたいですね。もし日本人が家庭で丸鶏を焼くとしたら、クリスマスのローストチキンでしょうが、はっきり言って味は微妙じゃありませんか?普通に焼いてもなんか水っぽいんですよ。一方、この焼き方だと焼く前に徹底的に肉を乾かすんですが、そのせいか水気が抜けて味が締まるんです。今年のクリスマスにいかがでしょう。ただし、真っ二つになったチキンが出てきたとき、お子さんがどう思うかは保証できませんが…。